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森の人がやってきた!(3) | 世田谷文化生活情報センター 生活工房

スタッフブログ

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森の人がやってきた!(3)

8月9日、最終日の森の名人は、東京都大島町の高田一善さん。
大正時代から続く、椿油製油所の名人さんです。


大島といえば、あんこ椿ですよね。
「あんこ」とは、「あねさん」という意味だそうで、年上の女性には皆使うのだそうです。
椿の実を拾い、椿柄の手ぬぐいをした頭に、籠を乗せて運ぶ姿が印象的ですよね。

でも今は、観光用に扮装した「あんこさん」しかいないとのこと…。
かくいう高田一善さんのおばあさまが、いわゆる最後の「あんこさん」だったのでは、とおっしゃっていました。
おばあさまは、腰まで届く長い黒髪で、80を過ぎて亡くなるまで、白髪はほんの数本しかなかったそう。

そのおばあさまは毎日、椿油を絞ったカスで髪を洗っていたそうで…。
その威力が推し量れます。



昔のモノクロ写真や、製油所の作業写真をお持ち下さり、丁寧に説明してくださいました。



これがもとの、「ヤブ椿」の実!

選定せずに持っていらしたため、

「この実が入っているだけでその時作った油がすべてダメになる」
というような真黒い実も、2つ含まれていました。

中を割ると、黄色いナッツが現れました。
油になってもかなり黄色みがあるのですが、
「白っぽい油は、漂白や脱臭などをクスリを使ってやっている。
 黄色いのは、ビタミンEがたくさん入っているから。」
と高田さん。

漂白などをしていなくても、熱が加わる機械による抽出法をとると、
まるで違うものになってしまうのだとか。
大島でも、昔ながらの手仕事でおこなっているところは、
もう高田さんのところだけだそうです。
(そしてドラッグストアなどで販売している椿油は、ほとんどが中国産サザンカだそうですよ?)


高田さんが繰り返しおっしゃっていたのは、
椿の森を守ってくれる、農家の人たちのこと。
農家の人にとっても、椿は防風であり、
また葉が輝くので太陽光を畑に拡散する役目を果たしたり、
農閑期に実を収穫できる、といった利点があるそう。
でも、ぱらぱらと落ちている身を一粒一粒拾うのは、
やはり大変な作業。
そういった方々の支えがあって、
森が守られ、自分たちの仕事もあると、
高田さんのお言葉には、感謝の念がこもっていました。


大島の森は、杉やヒノキなどの植林がおこなわれてこなかったため、
昔ながらのこんもりした姿をしているそうです。

椿油で揚げた天麩羅がどうしても食べたいし、
(ずっと言ってます)
大島の森に、ぜひぜひ行きたいです。

高田さんの製油所は、見学もできるそうですが、
油を絞る作業を見たいなら、事前に確認を!とのことでした。


高田製油所


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