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「時をときはなつ」vol.3を開催しました。 | 世田谷文化生活情報センター 生活工房

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「時をときはなつ」vol.3を開催しました。

時計とカレンダーの中から、時をときはなつ。
さまざまないのちの時にかかわる「時のフィールドワークショップ」と、
世界に流れるさまざまな時間を想う「時のドキュメンタリー上映会」を開催しています。

毎日、しとしと、じとじと。なかなか梅雨が明けませんね。

梅雨の時期は、ついつい、家にこもりがちになってしまいますが、この季節しか味わえないコトも、たくさんあります。

 

生活工房では、「この星に生きる」をテーマに活動しているセセンシトカさんと共同で、「時をときはなつ」と題した企画をおこなっています。

カレンダーや時計の中に押し込まれてしまっている「時」の概念をときはなち、自分やほかの命の中に流れる時間、世界に流れる時間を見つめることを目的に、ワークショップと上映会を行っていく、というものです。

そのvol.3として、時のフィールドワークショップ「水に満ちた木の皮を編む」を6月21日に、時のドキュメンタリー上映会「ものづくりの時」を7月4日に開催しました。(vol.1はこちら、vol.2はこちら

 

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時のフィールドワークショップvol.3「水に満ちた木の皮を編む」

 

開催日は、夏至の前日。そして梅雨まっさかり。当日も、午前中はポツポツと雨が降っていました。

ところが今回のワークショップは、雨天決行どころか、雨天歓迎のワークショップ!水分をたっぷりと蓄えた桑の枝をいただいてくるところから始まるのです。

 

今回の講師は、長谷川美和子さん(木のヒゲ)。自然素材を編む、というワークショップを、国立にあるたとぱにさんというお店で定期的におこなっていらっしゃいます。

朝、生活工房を出発。三軒茶屋のメインストリートから少し入ったところにある、蛇崩川緑道を進みます。昔、大雨の際に川が氾濫し、がけが崩れた所から大蛇が現れたという伝説がある緑道です。この長雨の季節にピッタリな道ですね。

緑道を通りながら、生えている植物を「編む」という目線で解説くださる長谷川さん。ムクゲも編むことができるそうです!

そして今回特別に許可をいただき、緑道の桑の枝を数本、いただいてまいりました。生活工房に戻って、早速、皮を剥ぎ、編む作業です。

桑の枝にカッターで切り込みを入れ、剥がすと、じゅわっという音がします。樹木がこの季節、どれほど水を吸い上げているのか、自分の手を通じて実感する、貴重な体験となりました。

剥がした皮は、縄ないをします。縄をなうのは、わかってしまえば単純で面白い作業。1メートル以上の長い縄を作られている方もいらっしゃいました。

ここで、お昼休憩。お弁当が包まれている竹の皮も、なんと編むことができるそう。そのほか、今まさに旬のとうもろこしの皮なども、編むのに適しているとのこと。長谷川さんが編んだトウモロコシの皮をお持ちくださいましたが、綺麗な緑色でした。

お腹も満たされ、いよいよ午後は、蔓や木の皮を思い思いに使い、トレイをつくります。

さまざまな手法を教えていただき、参加者の個性あふれる作品が完成しました!

 

作品制作の後は、桑の葉茶をいただきながら、時の語らいの時間。セセンシトカ・佐々木光さんの出番です。

今回は、「○○○の時・頃・季節」の「○○○の樹木など」が好きだ。

と書いてあるフリップを埋める形で始まりました。

みなさんからはさまざまな「時」があがります。

「初春の白いモクレン。自分はまだ暗い色のコートに身を包んでいるのに、パッと美しい花弁を開いて、えらいなと思う」

「春の到来を知らせる沈丁花の香り」

「夏の前の、初めて半袖を着る時の気持ち」

「夏の雨後の、立ち上る香り」

「夏の夜の、オシロイバナの香り」

「冬の日の、遠くより聞こえる音」

「乾いた冬の夜中の、白い満月」

などなど!これだけで、何句かできそうです。

その時その時の楽しみを、これからも見つけていきたいですね。

 

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時のドキュメンタリー上映会「ものづくりの時」

 

ものづくりをするために、ときには素材を一から育て、そして素材を採り、扱いやすく工夫し、いよいよ作り始める。自然との対話の時間がなければ、私たちは何も生み出せないのかもしれません。

時のフィールドワークショップでは木の皮を剥いで縄ないをしたのですが、実は、この水分の多い時期を過ぎて真夏になってしまうと、木の皮は剥ぎにくくなるとのこと。昔から、木の皮を手に入れるなら、この時期と決まっていたそうです。今回の上映会は、シナの木の皮を、立木のままベリベリベリっと剥がす映像から始まりました。

 

【上映作品一覧】

・「シナ布の里 新潟県・山北町山熊田」(参考上映/1999-2001年撮影/国立民族学博物館)

 梅雨の時期、オオバボダイジュ(シナ)の生木から皮を剥がす様子。

・「竹縄のさと」(36分/1978年撮影/民族文化映像研究所)

 7月末―8月頭の3日間しかない竹伐りの旬。竹の繊維で縄をなう。

・「アヴァール人の絨毯 北コーカサス・ダゲスタン」(17分/1990年撮影/国立民族学博物館)

 羊の毛刈りは毎年夏。

・「ジャワ更紗の隠れ里 ジャワ島・ケレック地方」(22分/1989年撮影/NHK・国立民族学博物館)

 乾季の終わりに綿花を摘み取り、手紡ぎ手染めの更紗を作る。

・「ジャワラ村の藍染め セネガル共和国」(11分/2000年撮影/国立民族学博物館)

 藍の収穫は雨季の終わり。織りあがった布を絞り染めする。

・「日本の紙づくり」(参考上映/1968年撮影/国立民族学博物館)

 コウゾは皮が厚くなった冬に収穫する。

・「ティティカカ湖のあし舟づくり」(13分/1977年撮影/国立民族学博物館)

 豊富に自生するトトラで、舟を作る浮島の人びと。島もトトラ製。

・「からむしと麻」(55分/1988年撮影/民族文化映像研究所)

 からむしと麻を育て、夏に刈り取り、冬に糸にして織る工程のすべて。

 

参加者の皆さまからたくさんご感想をいただきましたので、一部ご紹介いたします。

「もともとドキュメンタリー映画が好きでよく見ています。今日は特に、季節や風土に順じた手しごとをたくさん見ることができて、とても興味深かったです。一つ一つの工程に意味があり、黙々と淡々と体を動かす姿も使い込んだ道具も美しく、人の智恵の豊かさなどいろいろなことを想いました。時代の流れにはあらがえず、消えゆく文化が多いでしょう。知ることで、何ができるのか、ここから考えていければと思います。上映会は初めてでしたが癖になりそうです」(40代女性)
「〈時〉とものづくりという関係が、そういう視点もあるのかと新鮮でした。作られたものが、そのあと辿る〈時間〉にもさまざまな違いがありそうで、いろいろ想像するのが楽しいです。〈時〉という切り口で、しばらく楽しめそうです。」(40代女性)
「人と材料、お互いが最良の時期に育て、作り、生活を共にする姿はすべてに愛があって、もはや家族のように感じます。最近だと、食に関する産地~口に入るまでの映像や情報やよく目にするようになったのですが、こういったものづくりの現場はなかなか見れないのでとても満足しています。『竹縄のさと』で火にあぶって油抜きをしているときに、『竹の成長を一度殺す』という表現をしていましたが、生きている竹を伐り、そして一度殺し、また新たな形で生き返らせるその工程が何度見ても素敵でした。よい機会をありがとうございました。」(20代女性)
「普段気に留めないようなことを興味が持てるようなテーマにまとめあげていた」(40代男性)
「竹縄とか知らないことを知りえた。自分の何か造りたい気持ちになった」(60代男性)
「時という視点からものづくりを問うというのは、また違うところから目を向けることができた気がして。ちょっとうれしいです」(60代女性)
「制作の工程に焦点を集めた映像なので面白かった。特に材料制作に焦点を当てたテーマがよかった」(50代女性)
「更紗に興味があり、おもしろく拝見しました」(70代女性)
「貴重なフィルム紹介感謝いたします。どれもこれも、長年の憧れでした。感涙ものです。素晴らしい機会をありがとうございました」(40代)
「貴重な映像を見れてとてもよかったです。各地のいろんなものづくりで人々の長い歴史の中で培われてきた知恵を知ることができ、とても興味深かったです。セネガルの藍染めやほかの染織、服もとてもモダンで素敵でした。」(40代女性)
「世界各地から失われつつある伝統的な手しごとを知る良い機会になりました。地域時代の差はありましたが、現在ではもうすでに消えてしまったものもあるかもしれません。意識して次の世代に残すことができたらと強く思いました」(50代男性)
「竹縄の存在を知りませんでした。縄の材を得ることを想像したこともありませんでした。作業されている方の手が、道具のようでした。自然と人間の生活が共にあったことがついこの間であることも驚きました。これから進化するのもどこを目指すのかなと考えさせられました。分業だと思っていたので、最後の『からむしと麻』を見て、感動しました。豊かさは人の手と思いの中にたくさん詰まっていることがよくわかりました。ありがとうございました」(30代女性)
「東秩父の『竹縄のさと』の映像はびっくりしました。竹伐りから縄ができるまで昔の人は山の中の作業、家での作業みんなで協力して体全体を動かして。一本の青竹から素敵な縄ができて、びっくりしました」(70代女性)
「素材の収穫の模様、手作業の美しさ、感動しました。若い竹の鮮烈さは特に印象的で、やはり、自然の命をいただいているということに想いを馳せながら拝見しました」(40代女性)


そしてさらに、ご来場の皆様に、「この頃○○を作ります(作りたい)」というアンケートも取らせていただきました。

「春、柿の葉(新芽)の天ぷら」

「秋に集めた落ち葉で腐葉土を(おひさまが)作る」

「5月初め、秩父の花祭りで花を摘んでまき散らす」

「7月、柿渋を作りたい」

「秋にススキを集めてホウキを作ってみたい」

などなど、たくさんの「ものづくりの時」が集まりました。ご来場くださいました皆様、ありがとうございました。

そして今回は、映像の中に出てくるものの実物もぜひ見ていただこうと、奥会津昭和村振興公社様よりからむし織の製品とからむしの繊維、インドネシア染織研究家の渡辺万知子様よりケレック地方の更紗と綿花・ロウ引き道具をお貸出しいただき、展示させていただきました。

シナの木の皮はワークショップ講師の長谷川美和子さまよりご提供いただきました。トトラを使ったトトラ舟の舟の模型は、輸入雑貨アスーレ様にご協力いただきました。

この場をお借りして、あらためて感謝申し上げます。

 

次回、「時をときはなつ」は9月下旬開催予定です。どうぞお楽しみに!!


「時をときはなつ」vol.3を開催しました。
「水に満ちた木の皮を編む」ワークショップのスタートは、緑道で大ぶりの桑の枝採集。この時期、植物は急成長します。赤いパーカは、セセンシトカの佐々木真由子さん。
「時をときはなつ」vol.3を開催しました。
生活工房に戻って、講師の長谷川美和子さんによる、桑の皮を剥ぐデモンストレーション。枝を持ってらっしゃるのが長谷川さんです。

「時をときはなつ」vol.3を開催しました。
参加者の作品より。ご自身で編んだ桑の皮の縄ほか、長谷川さんがお持ちくださった白樺、コウゾ、プラム、トウモロコシなど、さまざまな皮が様々な手法で編み込まれた、色もさまざまなトレイ!
「時をときはなつ」vol.3を開催しました。
セセンシトカ佐々木光さん。自分で見つけた時、いつか見たい時を集めていく「時のフィールドノート」の付け方のレクチャーです。

「時をときはなつ」vol.3を開催しました。
時のドキュメンタリー上映会「ものづくりの季節」。3時間半という長丁場でしたが、みなさん映像にくぎ付けでした。
「時をときはなつ」vol.3を開催しました。
映像に関連した手しごとや、その素材などの展示。上映の合間に、見て・触っていただきました。