8ミリフィルムのアーカイブ・プロジェクト「穴アーカイブ」。

その一環として、「せたがやアカカブの会」というミニ鑑賞会&ワークショップが今春から定例で始まっています。

 

今回は9月7日に開催されたvol.4の様子を、せたがやアカカブの会・世話人の八木さんがお届けします。

 

 

 

みなさまはじめまして。世話人の八木です。世話人とはいえ、私はふだん関西で生活しており、毎回の現場には来れないのですが、「あること」で毎回参加しています。それは後述するとして、早速vol.4の模様をレポートします。

 

 

今回も、まず前半では、前回にみた昭和36年10月に撮影された「駒沢オリンピック公園」の映像を振り返りました。

 

と、そのまえに・・・前回、前々回の映像にうつっていた車が海外メーカーか否かという議論?がありました(前回ブログ参照)。今回、なんと参加者の方が図書館まで行って、車種をなんとか特定しようと当時の自動車資料のコピ―を持ってこられました。

 

 

調べられた結果、日本の自動車メーカーが海外メーカーのライセンスを得て生産したものではないか、という結論にいたったようです。そして、当時そのような車は「混血くるま」と呼ばれていたそうです。

99.9%の確信を得たとはいえ、「私の思い込みが入ってるから」ということで、結局結論が出たわけではありませんでした。

しかし「混血くるま」という言葉のインパクトに、参加者からも戸惑いにも似た驚きの声が聞かれました。

 

 

今回もこれまでと同じく、映像の1シーンのなかから、そのシーンにまつわる「モノ」を持参してもらうようにお願いしていました。1964年に駒沢オリンピック公園で撮った写真(写真真ん中)や、自宅のアルバムに貼ってあったという、オリンピック仕様のタバコのケースを持ってこられていました(写真の右端)。

 

 

ところで、以前からこのブログのところどころに、新聞記事の写真が挟み込まれていることにお気づきでしょうか?

実は、撮影された年月日が判明しているものについては、その日の新聞記事をアーカイブしています。明確な日が不明な場合もある程度時期を推定して、フィルムが撮影された当時、どのような出来事があったのかを追っています。私はおもにこの作業をvol.1から担当しています。

今回は私も生活工房へ行き、当日の新聞からピックアップした記事と広告を紹介しました。

 

 

あかかぶの会は、「みんなで映像をみる」ことと同時に、「そこに映っていないものをみる」ことが、重要なコンセプトになっています。

ご承知のとおり、新聞には社会、文化、政治、スポーツ、そして気象情報など、多様なジャンルの記事があります。また、新聞にはさまざまな広告記事も掲載されています。撮影年月日の新聞記事から、当時の時代背景や社会・文化的な特徴を知ることで、映像を立体的にみることができるのではないかという意図のもと、新聞記事を集めています。

 

 

読売新聞(東京・夕刊)1964(昭和39)年10月10日(土)第6面

 

 

朝日新聞(大阪・夕刊)1964(昭和39)年10月12日(月)第7面

 

今回私は、子ども服に関する記事と新聞広告を選んで紹介しました。8ミリフィルムには子どもが映っているものが多く、なかにはオシャレな格好をした子もみられます。当時の新聞記事を紹介することで、思い出話や、現在のわたしたちからみえる新たな疑問も、多数飛び出しました。

 

その他にも、「ソノシート プレゼント」という一面広告や、開業したばかりの新幹線に関する意外な記事も紹介しました。

 

朝日新聞(東京・夕刊)1964(昭和39)年10月10日(土)第8面

 

 

読売新聞(東京・夕刊)1964(昭和39)年10月12日(月)第11面

 

 

新聞記事は、東京版だけでなく大阪版の記事も集めています。「何でそんなことを?」と思われるかもしれませんが、これも「映っていないものをみる」ことの一環だと考えています。

現在の世田谷とは時代も場所も違う、当時の大阪の新聞記事から何がみえてくるのかは、今後あかかぶの回が積み重ねられ、新聞のアーカイブも溜まっていったときのお楽しみです。

 

 

・・・

 

 

後半では、1957(昭和32)年9月22日に撮影された「向ヶ丘遊園」の映像を上映しました。

閉園からすでに10年以上が経過した向ヶ丘遊園。参加者それぞれが、映像を観て思い思いの言葉を書き込みます。

 

 

どうやら今回も、さまざまな気づきや疑問、そして記憶のズレがみられたみたいですが・・・

 

 

次回vol.5の前半では、「向ヶ丘遊園」の映像を振り返り、気づきや疑問をさらに深めていきます。

後半は、新規の映像として、昭和39年に撮影された「新幹線」(モノクロ/約4分)を取り上げる予定です。

 

 

以上、アカカブの会・世話人の八木さんからのレポートでした。
撮影された日の新聞記事を読むと、映像から受け取る印象もずいぶんと変わりますね。

 

また、今月30日(日)は、「8ミリフィルム鑑賞会vol.2」が開催されます。
今年集まった映像を一部お披露目する予定です。
ぜひ、足をお運びください。

 

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■次回告知

鑑賞会&ワークショップ
せたがやアカカブの会vol.5

 

日時:11月9日(水)19:00 – 20:30

場所:生活工房セミナールームB(三軒茶屋・キャロットタワー5F)

参加費無料

 

*詳細はコチラをご覧ください。