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「世田谷区芸術アワード“飛翔”」 《生活デザイン》部門 作品/活動発表展が終了 | 世田谷文化生活情報センター 生活工房

スタッフブログ

  • [プログラム報告]

「世田谷区芸術アワード“飛翔”」
《生活デザイン》部門 作品/活動発表展が終了

世田谷区では次代の文化・芸術分野を担う若手アーティストが飛躍する機会をつくるため、
賞を設け発表の場を提供する事業「世田谷区芸術アワード“飛翔”」を展開しています。

本年度、生活工房では第2回《生活デザイン》部門を受賞された
玉田多紀さんの活動を支援してきました。
その活動および作品の発表展「創造するダンボール」が
10月14~16日に生活工房4階にて開催されました。

造形作家である玉田多紀さんは、身近な素材=ダンボールを通じて、日常に潜む刺激の発見を促す「地域と関わるワークショップ」を展開。

5月に区内高齢者施設、7月に区内小学校、8月に三軒茶屋駅前広場でワークショップを実施しました。


 



高齢者施設で制作した作品「恐竜のたまご」

高齢者施設で制作した作品「恐竜のたまご」

区内小学生が制作した作品たち

区内小学生が制作した作品たち


スタッフに人気のあった参加小学生の作品「カメガエル」

会場全体の様子


また会場には新作となる「incubation」をはじめ、玉田さんのバラエティに富んだ大迫力の作品が13点ほど展示されました。


「incubation」(2011)

「サイ」(2009)


「ぼーの」(2009)

「come and go」(2009)


また、展示初日となる14日には展示レセプションが実施されました。


世田谷区長よりご挨拶

レセプションの様子


区長に作品の説明をする玉田さん

 

15・16日の週末は「三茶de大道芸」開催ということもあり、大勢の方が会場に来てくださいました。

特に多かった親子連れの皆さんには、本格的なアート作品を興味を持って身近に接してもらうことが出来ました。



 


最後に(長文となりますが)玉田さんが本展示に際して寄せてくださったワークショップの感想を転記しておきます。


■はじめに
アーティスト/作家は、自己表現の先にある作品を文字通り「産み出す」ことが仕事であり、生き甲斐です。今回、世田谷区でワークショップを実施するにあたり、そうしたアーティストという存在を多くの方に少しでも理解してもらいたいと思いました。ワークショップ参加者の皆さんには、「創造する」ことを頭で理解するのではなく、素材や作品に実際に触れて感覚として理解してほしい気持ちから、可能な限り私が普段行なっている作業工程を経て、工作の域を超えた「アート作品」作りを目指してもらいました。


■区内高齢者施設
これまでワークショップを数多く実施してきましたが、高齢者の方々にご参加いただく機会になかなか恵まれませんでした。ですので、大きな期待と少しの不安で当日を迎えました。
今回、入居者の方々と『ダンボールたまご』をつくりました。その工程は、①ダンボールを水に浸す ②剥がしたダンボール紙をふくらませた風船に木工用ボンドで貼る ③何重にも貼り合わせていき、乾いたら風船を取り除く というものです。参加者の皆さんは、絵画や陶芸、ちぎり絵などの経験をお持ちで芸術分野にとても関心のある方が多く、施設の中庭に設置した私の作品を見て「こういう作品を見たのは初めて!」「ダンボールを使うなんて良いところに目をつけたわね!」といった嬉しい感想をいただをいただきました。そして、私の作品たちが全く違和感なく中庭という空間に溶け込んでいたことに私自身も驚きました。作品を撤収して、いつもの閑静な中庭に戻った時、「存在していなかったものが一時だけ存在してまた消える」という新たな感覚を多くの方と共有できたこともまた、大きな収穫でした。


■区内小学校
担当の先生に特別にご協力いただき、図工の時間を利用して子ども達に作品づくりを指導しました。まずワークショップ実施前の二週間、私の作品を図工教室脇に設置して、子ども達にイメージを膨らませてもらいました。そして『タマゴから生まれた生きもの』をテーマとして、アイディアスケッチを事前に描いてもらい、当日は数人のグループをつくって作品1体の完成を目指しました。
当日の作業工程は、①ダンボールをなめして土台を成形する ②水に浸して剥がしたダンボール紙を土台の周りに貼り付けていく というものです。授業の一環としてのワークショップ実施でしたので、参加した子ども達のなかには図工が苦手な子や、あまり興味が無い子もいたようですが、子ども達は自発的にグループ内での役割分担を決め、大きな作品づくりに挑戦する姿が見られました。短時間で作品を完成させるのはやはり難しかったようですが、素材であるダンボールに手を加えることで、感触が劇的に変化することを十分に発見してもらえたようです。


■三軒茶屋駅前広場
夏休みの連続した2日間を利用して、応募してくれた小学生を対象に『タマゴから生まれた恐竜の子ども』を制作するワークショップを実施しました。制作物を「恐竜の子ども」としたのは、動物園やテレビで見たことがある動物ではなく、自分の想像力をフル活用して、現存しない生きものを実際に形にしてほしかったからです。
1日目はまず、私の作品を子ども達に解説してイメージを膨らませてもらいつつ、皆で近くの商店街までダンボールを貰いに行きました。それからアイディアスケッチを描いて、そのスケッチを元に制作開始。ダンボールをなめして成形して土台をつくります。最後に翌日使うための素材である、水に浸して剥がしたダンボール紙をつくるところまでを行ないました。ここで参加した子ども達は、制作から一度離れて日常に戻ります。日常の生活のなかで「明日はどう作品を仕上げていこうか」と考えてもらうことが狙いです。
2日目は昨日の続きです。成形した土台にダンボール紙をどんどん貼り付けて作品としての完成度を高めてもらいつつ、自立させるための構造も一緒に考えました。
2日間かけて制作することで、私の想像に近い、かなりしっかりとした「アート作品」が完成しました。子ども達には、商店街のお店の資材置き場から「自分で選んで」貰ってきたダンボールが、いざ実際に制作してみると固すぎたり小さかったりして、一口にダンボールといっても素材として適さないものがあることを発見してもらえたはずです。そして1日目の土台の状態では、ダンボール表面の印刷や、ダンボールによって微妙に色が違うことに意識が及ばないのですが、2日目に剥がしたダンボール紙を貼り付け始めると、微妙な色の違いを感じ始めて子ども達の作品が豊かな表情を持つようになりました。
私自身の発見は、立体と平面の中間のような作品を何人かの子ども達がつくっていたことです。アイディアを形にするのが制作途中で難しいことが分かり、その子なりに現実的な形へ変化させた結果だと思うのですが、立体彫刻に近い自分の制作過程にとって、創造の可能性を再認識しました。


■今後の活動に向けて
ダンボールという身近な素材がもつ、奥深さや不思議さをさらに追及したいと考えています。「ダンボールをいつもと違った視点で見てもらうにはどうしたら良いか」「手を加えることで素材感が簡単にそして劇的に変化することをどう伝えていくか」「作品に昇華させることで、ダンボールというありふれた素材が愛着のあるものへと蘇らせることができるワクワク感をどう伝えていくか」を模索しています。そして今回、地域の方々と関わりながら活動することで、「創造する」ことへの気持ちも、なにか原点に戻れたように感じました。


「世田谷区芸術アワード“飛翔”」
《生活デザイン》部門 作品/活動発表展が終了
「世田谷区芸術アワード“飛翔”」
《生活デザイン》部門 作品/活動発表展が終了

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