〈時計とカレンダーの中から、時をときはなつ。〉
天体の動きとともにめぐる季節、くりかえす昼と夜。
人間を含めた地球上のすべての生命は、自然の律動と同調しながら、それぞれのリズムを刻んできました。
しかし現在の私たちの生活は、あまりにもその律動から遠く離れてしまっています。
24時間化する産業、明るい夜。均質化していく1年、比例しない時間と距離。季節を問わず手に入る食べもの。
これからさらに加速度を増して〈即時化〉〈高速化〉〈均質化〉する「時」に、私たちのこころとからだはついて行けるのでしょうか。
今私たちにできることは、「自然の中に流れる時間、体の中に流れる時間」に、折に触れ、手を伸ばすこと。
それは世界と直接かかわることであり、また自身を見つめることでもあります。

「時のフィールドワークショップ」では、身近なフィールドで、
ほかの命の「時」を見つけ、出会い、かかわるためのワークショップをおこないます。

「時のドキュメンタリー上映会」では、地球上のさまざまな地で生きる人々の「時」を、記録映像を通して想います。
「時」はすでにときはなたれ、世界に悠然と流れています。
かかわること、想うことの中から新たな「時」を見つけ、自然とともにゆらぐ時間を取り戻していきましょう。

過去に行ったプログラム
「時をときはなつ vol.1」「時をときはなつ vol.2」「時をときはなつvol.3」
レポートは
「時をときはなつ、ときどきブログ」でご覧いただけます。


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時をときはなつvol.4「月を待つ」
 

 月月に 月見る月は多かれど 月見る月は この月の月―――詠み人知らず


ただ一夜の月を、心待ちにしたことはありますか。
澄みわたる秋の夜空、いっそう美しく光り輝く満月。
旧暦8月15日の月は「中秋の名月」と呼ばれ、古来より〈お月見〉が行われてきました。
〈お月見〉は秋の収穫を神様に感謝する信仰とも重なり、里芋やお団子、稲穂に見立てたススキを飾る習わしがあります。
また一方で、月を直接見てはいけないとされる習俗もあり、平安貴族は湖面などに映る月の姿を楽しんでいたといいます。
つい140年ほど前まで、太陰暦という、月の暦で暮らしていた日本人。
暦は変わり、地上の光で星がかき消された夜空にも、月やはり煌々と、私たちの頭上に輝いています。
今回の「時をときはなつ」のテーマは「月を待つ」。
今年は9月27日となる「中秋の名月」の前日に、ワークショップと上映会を行います。
一年に一度の月を待つ、その時間を、ともに過ごしましょう。

 



時のフィールドワークショップ「月をうつす」

9月26日(土)13:00~16:00 会場:生活工房4FワークショップA
かぐや姫も入っていた竹。
竹はその成長の速さと空洞という形状から、地上と異世界(月)を結ぶ依り代とも考えられていました。
世田谷で採取された竹も使い、お酒や水に月の姿を映すための盃と、月のかたちを写しとったような丸皿を作ります。
お月見団子をいただきながら、月と私たちの時間について語り合いましょう。


定員:抽選15名 参加費:1,500円(材料費・お菓子代込)
申込:9月13日(必着)までに、以下のいずれかの方法でお申込みください。
   1. このページ下段の申込フォームより
   2. 往復はがき(1.お名前 2.電話番号 3.ご年齢を明記のうえ、〒154-0004東京都世田谷区太子堂4-1-1 生活工房「時」係まで)

 



時のドキュメンタリー上映会「満月の夜に」

9月26日(土)16:30~19:00頃 会場:生活工房4FワークショップA
1873年の改暦まで日本で使用されていた太陰暦では、15日はいつも満月。
光源の少ない時代、満月の明かりをたよりに、15日の夜にお祭りを行う地域がたくさんありました。
日本とアジアの満月に行われるお祭りと、
月の満ち欠け・潮の満ち引きに影響を受ける動物たちの営みを捉えた自然映像を上映します。

定員:50名 参加費:無料 申込不要、当日直接会場へ


上映作品
・「マンダレーの灯明祭」(国立民族学博物館/14分/1980年 ミャンマー)
古都マンダレーにおける仏教信仰と、10月の満月の夜のおごそかな灯明祭をえがく。
・「チワン族の中秋節」(国立民族学博物館/19分/2004年 中国)
月餅を食べ、ザボンを供える中秋節。町一番の大通りは、家族連れで賑わう。


・「下園の十五夜」(民族文化映像研究所/37分/1980年 鹿児島県枕崎市下園)
十五夜の前日、7歳から14歳の男子は山へ入り、笠を被った神となって降りてくる。満月のもと、南九州に特徴的な綱引きと相撲が執り行われる。


・「海・青き大自然 THE BLUE PLANET 7 潮流のドラマ」
(BBC/50分/2003年)
*日本語吹き替え版
月と太陽と地球が一直線に並ぶ満月と新月の日の前後、海は大潮となる。天体の力がもたらす「潮流のリズム」は、海の生態系の営みをつかさどる。

 

 

共同企画制作・デザイン:セセンシトカ
協力:一般財団法人世田谷トラストまちづくり、世田谷区生涯学習・地域・学校連携課
後援:世田谷区