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「時をときはなつ」vol.1を開催しました。 | 世田谷文化生活情報センター 生活工房

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「時をときはなつ」vol.1を開催しました。

時計とカレンダーの中から、時をときはなつ。
さまざまないのちの時に関わる「時のフィールドワークショップ」と、
世界に流れる様々な時間を想う「時のドキュメンタリー上映会」を開催。

いま、私がこのブログを書いているのは12月27日。すっかり年の瀬が押し迫った、私的には仕事納めの日です。

今年は多くの企業が、12月27日―1月4日と、例年より少し長めのお休みとなりますね。実はこの時期、8日間も産業がストップする先進国は、日本くらいなものです。キリスト教国が1月1日より12月25日を祝うのは、皆さんご存知ですね。1月1日は単発の祝日だったり、平日で普通にお仕事をする国も多いのです。

でも、私たちがいうところの1月1日が、年があらたまる日ですらない地域がたくさんあるのをご存知でしょうか?そしてそれが、日本国内にもあることも…

私たちがなんだかわさわさと忙しく、年が明けるとゆったりとした時間を過ごしている中、国内外では全く別な時間が流れているんだなあと思います。

 

生活工房では、「この星に生きる」をテーマに活動しているセセンシトカさんと共同で、「時をときはなつ」企画を始めました。

カレンダーや時計の中に押し込まれてしまっている「時」の概念をときはなち、自分やほかの命の中に流れる時間、世界に流れる時間を見つめることを目的に、ワークショップと上映会を行っていく、というものです。

第1弾として、時のフィールドワークショップ「長い夜を、ともし火で照らそう」を12月21日に、時のドキュメンタリー上映会「一年」を12月23日に開催しました。

 

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時のフィールドワークショップvol.1「長い夜を、ともし火で照らそう」


開催日の翌日・22日が冬至(しかも今年は19年に一度の朔旦冬至という、新月と冬至が重なる日)にあたるので、その長くて暗い夜を照らすキャンドルをつくるワークショップをおこないました。

まず、私たちがほかの命の時と直接かかわるための一つのツールとして、《時のフィールドノート》を配布しました。《時のフィールドノート》は、「セミの鳴き声を聴いた」「山茶花が咲いているのを見た」など、自分が何かほかの命の時に気づいたときに、それを記していくものです。

または、「出会いたいもの」を記す(たとえば、日本でクジラを見たいとして、クジラがどの湾にいつごろいるかを図鑑などで調べて書いておく)ためのもの。これから訪れる養蜂所の一年もぜひ書きこんでみてくださいとアナウンスし、いよいよ出発です。

 

世田谷区内にある養蜂所・宍戸園さんまでマイクロバスで向かいます。ミツバチの一年、養蜂の一年、作物の一年について、みなさんノートに書き込みながらお話を伺いました。

当日は、前日までの冷たい雨が嘘のような、暖かな日差しあふれるお天気!天候が悪かったら難しかったのですが、ミツバチの巣箱の中も開けていただき、冬越しの準備をしているハチたちを見せていただきました。

巣から取り出したばかりのハチミツを味見させてもらい、ミツロウを分けていただき、そしてハチが媒介して実ったミカンも収穫させていただいて、また生活工房へと戻ります。

昼食は、jam caféさんによる、宍戸園さんのハチミツを使用した鶏のハニーマスタード焼きと大学芋が入ったお弁当。空腹が満たされたところで、いよいよキャンドル作りです。

 

セセンシトカさんによる丁寧な説明の中、棒のキャンドルを2本、カップのキャンドルを1つずつ作りました。ミツロウを溶かす作業では甘いハチミツの匂いが漂って、さっきご飯を食べたばかりなのに、もうお腹が空いてきます。。。

 

冬至の日、日没は16時半ころ。キャンドルを作り終えたころ、あたりはだいぶん暗くなっていました。キャンドルを灯しながら、参加者の方々に「夜の好きなところ」を聞いていきます。

「昼間の光より、私には夜がやさしい」

「闇に輝く花火が好き」

「街灯もない真っ暗闇のあぜ道を歩いたことがある。感覚が研ぎ澄まされる思いがした」

「計画停電の夜。暗くてもう寝るしかないという状況に、すごく自然と寝ることができた」

近年の明るすぎる夜は、私たちにどんな影響をもたらしているのでしょう。かつて夜は、誰もが眠る時間であり、そのかわり、想像上の生きものたちがうごめく時間でもありました。夜が明るくなり、ずっと昼間のようになっている。私たちは睡眠だけでなく、闇の中に何かを想像する力も、少しずつ失っているのかもしれません。

 

そして、《時のフィールドノート》を手に、これからの一年、出逢いたいものもうかがいました。

「ツバメの寝ぐら入り」

「流れ星を見たい」

「おばあちゃんちの近くの蛍をまた見たい」

「星がまた同じ位置に見えるとき、一年経ったんだな、と実感したい」

みなさん、見られるといいですね!ぜひ見られた報告、お待ちしています。

 

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時のドキュメンタリー上映会vol.1「一年」

 

先に書きましたように、世界のカレンダーは一つではありません。国内外では、1月1日ではなく、さまざまな時期に「新年」がやってきます。

下記のように、年迎えの時系列の順に上映していきました。上映タイトルの最後に書いてあるのが、その地域での新年を迎えるおよその時期です。

 

「苗年節 貴州省雷山県 ミャオ族の正月」(中国/11月上~中旬)

「石垣島川平のマユンガナシ」(日本/11月中~下旬)

「ウルネッシュ村のジルベスタークロイゼ」(スイス/1月13日)

「七島正月とヒチゲー」(日本/12月下旬~1月中旬)

「東北のまつり」(日本/1月中旬~2月中旬)

「黄土高原の春節」(中国/1月下旬~2月中旬)

「ウダイプルのホーリー祭」(インド/3月上旬)

 

私たちの一年は、さまざまなイベントに満ちています。クリスマスが終わった後、ショーウインドウや店の中は、テレビの映像は瞬く間にお正月一色に切り替わります。その一方で、地域や家族で私たちがこれまで大切に受け継いできた「一年の節目」の行事などは、だんだんと見られなくなってきました。

 

自分にとって、一年の中で大切な日とは?自分の地域のコミュニティが季節の循環の中で大切にしてきた一年のサイクルとは?

そんなことに目を向けてみたくて、この上映会を行いました。

皆さんのご感想からは、映像からいろんなものを受け取っていただいたということがよくわかりますので、ご紹介します。

「あなたの一年のはじまりはいつですか?=どんなときに一年が巡ったなぁと感じますか? この企画テーマ、心にズバリときました。 日常の「時」の定義から解き放たれ、「とき」や自分のリズムについて考えること。 今日は多種多様な文化における「一年のはじまり」の祭礼などを紹介する映像上映でした。 季節の移りかわり、自然の気候や営みに合わせた生活を見つめなおすきっかけとなりそうです。」

「 時を客観的に、多面的に感じる機会となり、生きていること(生かされていること)の愛しさをふとあらためて感じました」

「神や祖先をうやまう発想は、自分の生活にはないと気付きました。様々なつながりが多い現代社会、それはいいことなんですが、ゆるぎないものではありません。地域や歴史(継承)の中のつながりは、唯一無二だと感じました」

「時の感覚というものが全く意識できなくなっている現在、あらためて、1年、1日1日の時の流れを意識することができるきっかけとなったような気がします」

「開催時期がよく、新年を迎えること、迎え方とその意味を考えることができました」

「1年のサイクルだけではない、もっと大きい時の流れのようなものをイメージする機会になりました!」

「今の日本の社会はなんと商業ベースに乗っていることかと改めて思いました。バレンタイン、ハロウィン、クリスマス…みな、消費と結びついて社会に広がっています。自分たちの地域の食や季節にもっと思いをはせることができる社会になってほしいものだと思いました」

 

当日はひたすら、各地のお正月や新年のまつりをとらえた映像を流していたのですが、こんなにも受け止めてくださって、本当にうれしいです。

 

次回「時をときはなつ」は、3月21日、28日を予定しています。

3月は、芽吹きの季節。そして新たな旅立ちの季節。新たな時と出会いに、ぜひご来場ください。


「時をときはなつ」vol.1を開催しました。
「時のフィールドノート」について説明をする、セセンシトカの佐々木光さん
「時をときはなつ」vol.1を開催しました。
巣箱を開けてくださった宍戸園の宍戸さん。ミツバチたちは、ハチミツをしっかりため込んで、冬越しの準備をしていました。

「時をときはなつ」vol.1を開催しました。
いただいてきたミツロウを溶かして濾し、不純物を取り除きます。
「時をときはなつ」vol.1を開催しました。
キャンドルづくりを教えてくださるのは、セセンシトカの佐々木真由子さん

「時をときはなつ」vol.1を開催しました。
時のドキュメンタリー上映会。それぞれの地域で、めぐる営み、年月。
「時をときはなつ」vol.1を開催しました。