日本家屋に欠かせない素材であった和紙。
高温多湿の夏には水分を吸収し、乾燥する冬に水分を吐き出す。
和紙は日本の風土を呼吸して私たちの暮らしを快適に保ってきました。
そして和紙は今、「住まうための素材」だけではなく「着るための素材」として、
洋服生地への応用・研究が進められています。
本展では、ファッションデザイナー浜井弘治氏とともに、
和紙にこめられた先人の知恵に触れつつ、
最先端の素材として捉え、和紙糸(わしいと)と和紙プロダクトの未来を探ります。
気候変動の影響で2100年には
年間平均気温が現在より2~3℃上昇すると予測される日本。
木綿の10倍の吸水性と3分の1の軽さをもつ
備後(広島県福山市)の工場が開発した和紙糸は、
来るべき未来の服の素材となる可能性があります。
展示では、和紙布の原材料・生地・衣服を使った空間演出で、
多様な和紙プロダクトを紹介し、シャリッとした和紙布ならではの心地良さを、
手に触れて体感していただきます。
また、和紙が糸となり布になるまでの技術やドラマを、
かねてから浜井氏と交流のある
漫画家・内田春菊氏のイラストレーションで楽しく解説します。
機能と美を備えた和紙プロダクトに、未来の手触りを感じてください。
浜井弘治(Koji HAMAI)
山口県下関市生まれ。文化服装学院アパレルデザイン科卒業。第61回装苑賞受賞。
株式会社三宅デザイン事務所に服飾デザイナーとして入社。
インターナショナル・テキスタイルデザインコンテスト「ファッション振興財団賞」受賞を機に独立。
工場の残った糸を回収した残糸シャツ、町工場とのコラボレーションによるブランディング、
和紙デニム等和紙糸テキスタイル開発、衣料の最終地点/反毛MA-1、
バクテリアシャツ、ガラ紡デニム等、
ファッション業界の隙間を形にする「株式会社うるとらはまいデザイン事務所」を設立する。
現在、デニム縫製産地の山口県に拠点を移動し活動する。
http://hamaikoji.jp/